経歴
- 2019 – 2023
筑波大学附属駒場中学校・高等学校
- 2023 – 2025
Kingswood School, Bath
- 2025 – 現在
ケンブリッジ大学コンピュータサイエンス学部
Part IA 主席 (Ranked 1 / 129)
所属
- 2023 – 現在
Tazaki財団 7期生
報告書を読む
「知能」というレンズで、世界を見る。
知能に、ずっと惹かれている。どんな探求も、それを行う主体の限界を超えることはできない。だから、知能そのものを理解しない限り、他のどんな問いにも本当の意味では近づけないと思っている。これが、私が知能を追いかけている理由であり、あらゆる探究活動の変わらない軸になっている。
取り組んでいる研究
方策勾配法の拡張(東京大学)
強化学習は、人間の知能と親和性が高いと感じている。主体が環境と相互作用し、報酬を通じて環境を理解していく——それこそが知能の本質に近いと思う。ただ、階層的世界モデルの研究を通して、自分の知識と経験の足りなさを感じ、基礎理論に数学とコードで正面から向き合うことで、数学力と直感的な理解を得る必要があると感じた。良いメンターに恵まれ、方策勾配法の理論——特に max@k や pass@k のような指標を最適化できる手法 ordergrad——の本質的な理解と極値理論による拡張に取り組んでいる。
学際的な視点を極める
世界はサイズや対象物に関わらず類型性があり、一つの分野での知見が他の分野で役にたつ。このグラフはその類型パターンを探す自分の軌跡を表す。丸をクリックすることで、活動記録の一部を見ることができる。
知能、そしてその先へ。
あらゆる活動は、主体と環境の相互作用としてとらえられる。目的をもつ主体は、環境をより深く理解するほど、その目的を達成する手段を洗練させていく。その「深い理解」とは、主体が環境を抽象化し、圧縮して内在化することだと考える。階層的世界モデルの研究に惹かれているのも、この「抽象化」がどう起こるかを直接扱えるからだ。
ただ、この理解には限界がある。人間の脳には、神経伝達速度のような物質的制約や、進化が残した構成上の制約があり、知覚も完全ではない。
幼い頃にガラパゴス諸島を訪れ、生物の多様性に強く惹かれたことがある。知能にも、生物と同じように多様な形があって当然ではないかと、その経験から考えるようになった。人間の脳が人工知能に絶対的に劣っているとは限らないし、その逆も同じだ。
人工知能もまた、人間とは異なる形の制約を負っている。だが両者を一つの集合として見れば、それぞれの限界を補い合い、世界の理解をこれまでより広げていける。東京大学で方策勾配法の理論を拡張する研究に取り組んでいるのも、この関心の延長にある。
知能だけでなく、目的についても同じことが言える。生物学は自己複製を起源とするが、そこから痛みを避ける、未来を予測するといった無数のサブゴールが派生し、優劣を入れ替えながら私たちを動かしている。私の中でも、「一刻も早く未知を知りたい」という思いと、「知を広げることだけがこの世の目的ではない」という思いが、日によって優劣を変えながら同居している。目的は、個人の中でさえ単一ではない。
近年、人工知能は、答えを出す力を急速に伸ばした。けれど、何を目指すべきか、何が良い問いかを一緒に考えてくれる主体は、まだない。知能そのものを理解することは、そこに近づくための、遠回りだが確かな道だと思っている。